「お母さん、N研に入れて本当によかったよ。
これでわたしも来年○○女学校に行けるかもね!」
「そうね、裕子の友達もいるしね。これから受験の2月までがんばるのよ」
「うん、ユッコ絶対がんばるよ!ねえねえ、パパ。パパも応援してよね!」
「ユッコが本気ならパパはユッコを全力で応援するよ。がんばれよ。」
「ヤッタ^―」(ユッコ)
佐藤裕子。あだ名は「ユッコ」。
今年の4月から6年生。
学校の成績は中の上。
得意科目は国語。
今年の4月から、いえいえ、塾では今年の受験が終わった2月から、
来年の志望校合格に向かって歩もうとする一生懸命な子。
大手塾で名高いN研に入れたことがうれしく、
張り切って勉強に取り組むユッコ。
それを精一杯応援しようとするお母さんとお父さん。
3月・・・
春期講習。初めての塾での長期学習。周りの仲間が気になる。
ようし、がんばるぞ〜
4月・・・
やっと塾になじんできた。
でも、お気に入りのA先生が他の教室に異動になった。
ちょっとさみしい。どうして行っちゃうのかな。
5月・・・
五月病かな。ちょっとやる気がでない。
でも、いつかは治るだろう・・・
治るかな…
得意な国語がだんだんと苦手科目になってきた感じ。
算数ってどうしてこんなに難しいんだろう。
6月・・・
順位やクラスばかりが気になってしまう。あれ、なんのためにここ
にいるんだろう?? 勉強…つらいな・・・
7月・・・夏期講習が始まる。
長い、つらい。お母さんにはだまっていたけど、なんだか2月のときの気分じゃない。
勉強のための勉強みたい。
ただつらい・・・ お母さん、私・・・この塾辞めたいよ。。
あれれれれ
ユッコと、そしてお母さん、
お父さんの当初の意気込みからずいぶんと外れていますね。
彼女は、お母さんは、お父さんは、
何か間違っていたのでしょうか???
この物語の主人公「ユッコ」のような子が、5月から7月にかけて
個人塾のドアをたたくことが、実際、実に多いのです。
大手塾の現実に打ちのめされ、落ち込んで、
気力さえなく仕掛けているわが子。
そんなわが子の居場所を、どうにか見つけようと模索するママ。
やっとみつけた自分に合った個人塾にたどり着いたときの安堵感。
よかった、よかった ・・・
それもつかの間、そこからまた新しい戦いと葛藤が始まります。
なぜなら、大手塾の手厚い...
サービスに使っていた自分から、自らの足で
歩き始める自分に脱皮しなければならないからです。
(これが一番大変。一生懸命指導しても、
受験を自分のこととして考えない子は、
この典型です。そしてそれに応じた受験結果となります。)